一振入魂 〜響け!だんじり太鼓!〜
オニギリ 2024年9月25日
大祭に向けて振りおろす一打
1.新秋の交差点
「もうすぐお祭りじゃね。」
来月の大祭を心待ちにする声が聞かれる頃、街はにわかに、浮き足立ちはじめる。
どこかで屋台に出会える予感がして、検索窓に「西条市 イベント」などと打ち込んでエンターキーを押す。
だんじり囃子の太鼓講習会。ひとあし早くお祭りと再会できそうだ。
記録的猛暑と呼ばれた今年の夏の名残を残した太陽が照りつけるアスファルトの上。
青信号を待つハンドルを握る手が、思わずだんじり囃子のリズムを刻む。
2.一途に一打
「太鼓が縦についている屋台もあるね。」
講師の加藤さんが、こちらに視線を向けながら語る。筆者の自部落の屋台のことに触れられて、思わず心が熱くなる。
「本気で聴いてくれる君達に向けて、本気で叩くよ。」
マエストロの額に、ねじり鉢巻がキリリと締まる。
3.ひと夏を越えた少年たち
西条では、夏の終わりとともに、お祭りの足音が聞こえてくる。
ついこの間、今年の夏を見送ったであろう少年たち。日焼けの肌が、このひと夏での成長を語りかけてくる。
ひとつ季節を越えるごとに、お祭りを迎えた数のぶんだけ、少年は大人へと近づいてゆく。
小麦色の腕からの一打が、秋の景色を連れてやってくる。肚の底までズシンと響く会心の一音。
この少年たちの紡ぐ太鼓の響きが、この街を包む日はすぐそこだ。