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西条まつりに込めた先祖の思い ~金色に輝く刺繍飾り編~

SAIJO BASEの展示コーナーを知っていますか?
ああ、あの古い『だんじり』とか『みこし』ね。と侮るなかれ。
実は、西条まつりの伝統を今に伝える、選りすぐりの名品が展示されているんです!

『だんじり』の美しい彫刻、『みこし』や『太鼓台』のキラキラ輝く金色の立体的な刺繍から、豪華絢爛ともうたわれる西条まつり。
今回は、『みこし』や『太鼓台』の刺繍に注目してSAIJO BASEの名品をご紹介!まるで彫刻の様に浮き出た立体的な刺繍は、西条市を含む瀬戸内地方で考案され、どんどん進化してきたそう。

この記事を読めば、SAIJO BASEの展示コーナーに行きたくなるのはもちろん、実際の西条まつりもいつもより数倍楽しくなっちゃうかも!?

 

1.どんどん豪華に進化していきました

SAIJO BASEの展示コーナーで一番目立つのは、中央に展示された4台の屋台(だんじり3台とみこし1台)。
今回スポットを当てるのは、1つだけ大きく形が違う『新町みこし』です。

西条まつりを知っている人は、え?これが『みこし』なの?と思う人も多いはず。
そう、今の西条まつりで目にする金色に光るみこしに比べて赤色のイメージが強いですね。
じつは、こちらは江戸時代のみこし復元したもの。復元されたといっても、刺繍、彫刻、房は、江戸時代~明治中期に作られた当時のものなんです!

西条まつりは、江戸時代後期(1830年頃)に描かれたとされる『西条祭絵巻』には、すでに25台もの屋台が描かれているので、江戸時代の先祖たちは既にこの頃からお祭りを楽しんでいたようです。新町みこしは、その『西条祭絵巻』にも描かれています。
並べてみると、だんだんと金の刺繍が大きく、豪華になっていることが分かります。
図の中段(黄色で囲った部分)は『水引幕(みずひきまく)』と呼ばれますが、昔は1枚の幕でぐるっと1周巻きつけるスタイルだったものが、現在では4面に分割された形になっています。

 

2.物語を感じる

SAIJO BASEの新町みこしの中段の『水引幕』は2重になっています。実はこの部分は物語を表す刺繍がされているんです。

 

外側は上水引(うわみずひき)といい、香川県志度町に伝わる『海女(あま)の玉取り伝説』です。

時は1300年以上前の飛鳥時代、中国からの宝物を船で京の都へ運ぶ途中。志度の海上で竜神が現れ、宝物の玉を奪われてしまいました。
都の貴族の藤原不比等(ふじわらのふひと)は、玉の行方を捜すため、身分を隠して志度に来たのですが、そこで海女(あま)と出会い、恋に落ちて子も生まれました。
数年後、素性を明かした藤原不比等は、子を貴族にするという約束と引き換えに、海女に玉の奪還をお願いします。海女は玉が竜宮城にあることを突き止め、決死の覚悟で奪還しますが、戻る途中に竜神にバレて襲われてしまいます。海女は護身の短剣で胸を切り裂き、その中に玉を隠して何とか海面まで辿り着き、藤原不比等に玉を渡し、子を頼むと言って息を引き取りました。
その後、藤原不比等と子は都に帰り、貴族となった子は政治の舞台で活躍した。という、海女の夫と子への愛を感じる悲しい伝説です。

内側は下水引(したみずひき)といい、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも出てきた、『富士の巻狩り』の様子です。

源頼朝富士山のふもとで行った大狩猟大会で、数万人以上が集まったともいわれています。
狩りの途中、手負いの大イノシシが源頼朝に向かって突進しました。その時、近くにいた仁田忠常(にった ただつね)がとっさにイノシシに飛び乗り、刀を突き刺して退治したという物語です。

さらに本体の支輪(しりん)彫刻にもご注目!
の彫刻が施されており、正面には朝日。両側面にはが1羽ずつ。背面にはひな鶴が3羽いるんです!
松に鶴の両親と3羽のひな鶴という組み合わせは、『松に巣籠鶴(すごもりづる)』と呼ばれ、あの日光東照宮の陽明門の普段は見られない壁画にも描かれた図柄。子孫繁栄の意味を込めたのではないかと言われています。

さらに、朝日、松、鶴の組み合わせ。どこかで見覚えありませんか。そう、花札にもあるおめでたい図柄です!

しかもこの彫刻、本当は外側の上水引に隠れて見えない部分なんです(SAIJO BASEでは、彫刻が見えるようあえて飾りをずらして展示しています。)。
西条祭絵巻を見ると、中段の幕は下水引の1枚しかないため、この彫刻部分もしっかり見えていたことが分かります。しかし、上水引が追加され、さらに4面に分割された豪華で大きな水引幕に進化していく流れの中で、彫刻や下水引も見えなくなっていきました
それでも、現在のみこし、太鼓台の中には、今でも彫刻が入っているものがあるそうですし、みこしの中にも下水引をつけているところがあるそうです。知らなかった!

古い新町みこしに込められた沢山の物語は、水引幕が4面に分かれた現在のみこしにも息づいています。
展示ケースに並んだこちらの4枚の刺繍飾りは、平清盛の『日招き伝説』が描かれています。

広島県呉市音戸町の海峡は、平清盛が土地を削って作らせたと言われていますが、潮の流れが速く工事は難航。日が暮れていく中、平清盛が夕日に向かってを掲げ「もどせ」と叫ぶと、再び夕日が昇り、めでたく工事が完了した。というものです。
水引幕には、扇で夕日を招く平清盛と一緒に、平清盛が建てた宮島の厳島神社竜に乗った弁財天が描かれています。この弁財天は、「夕日を呼び戻せたからと言って、調子に乗ってはいけませんよ」と、平清盛を諫めているとも言われています。
この4枚の水引幕の境目をよく見ると、模様がつながるように作られているんです。昔は1枚の幕をぐるっと巻いていた名残かもしれないですね。

刺繍を見るときは、是非いろんな角度から見てください!
厳島神社の御殿の刺繍は、見えづらい屋根の下にもびっしりと垂木(たるき)が浮き出た刺繍がされています。
弁財天、竜の刺繍は、横からよく見ないと分からない部分も鱗の形に縫われていたり、立体的な刺繍ならではの職人さんのこだわりが感じられます。

 

3.先人のカッコイイ!にロマンを感じる

さて、先ほど紹介した、平清盛の刺繍。違和感を覚えた人はいますか?
歴史の教科書の平清盛を思い出してください。そう、衣装がとっても派手なんです。
厳島神社も違和感を覚えませんでしたか?そう、こんなに大きな建物や屋根の飾りは実際にはありません

日本絵画の特徴と言われるのが、西洋絵画が写真のようなリアルを追求したのに対して、日本絵画はリアルさよりもダイナミックな場面表現を追求し、構図やサイズを工夫しているということ。
有名な葛飾北斎の富嶽三十六景の1枚も、こんな大きな波は実際にはありえないですが、ダイナミックでカッコイイですよね。

刺繍飾りも日本絵画に通じるダイナミックな場面表現はもちろん、平安時代はこんな感じだったかもしれないという当時の人の想像や、刺繍された当時の人々のカッコイイが込められているのかもしれませんね。

 

4.祈りを感じる

西条まつりは五穀豊穣を神様に感謝する神事。飾り刺繍には神道仏教の要素も取り込まれています。

例えば、対になっている龍の飾り。よく見ると左右の龍の姿に違いがあるんです。左の竜は口を大きく開き、右の竜は口を閉じています。これ、どっかで見たことないですか?
そう、神社にある狛犬や、お寺にある仁王さんと一緒。阿吽(あうん)の形ですね。

 

さらに、みこしの正面下側の『三角布団』の上には、五色の布が垂れ下がっているのをご存じですか?
神社やお寺で五色のカーテンっぽいものを見たことがある人もいるかもしれません。これは、五色(ごしき)といい、陰陽五行説という考え方からきています。陰陽五行説の説明は難しいので割愛しますが、我々の身近なものでは、東西南北を守る聖獣(青龍、白虎、朱雀、玄武)と中央の麒麟という組み合わせも陰陽五行説がルーツです。
五色の組み合わせは、青、白、黄、赤、黒が基本ですが、白を桃色、黒を紫に置き換えています。この五色の布は、今でも御殿前入場の時に広げて整えるなど、大切にされているそうです。

 

5. ココに注目!SAIJO BASEの展示品はこうやって楽しむべし!!

さて、最後に、SAIJO BASEだからできる展示品の鑑賞ポイントを3つご紹介します!

👉ポイント1 四面をじっくり見比べる!

実際の朔日市みこしに使われていた四面の『布団締』と『水引幕』が横一列に展示されているので、じっくり見比べることができます!

朔日市みこしの正面にあたる部分の刺繍は『陽明門』。日光東照宮にある国宝にも指定されている有名な門ですね。みこしの背面の刺繍は「三仏殿」で日光にある輪王寺の『三仏堂』だと考えられます。日光は、戦国時代を終わらせた徳川家康が祀られている場所なので、平和の祈りが込められているのかもしれませんね。
左右の龍は、正面に向かって向かい合う構図。そして、口の形もちゃんと見てください!上段の対の龍の刺繍と同じく、阿吽の形になっています。

上段の4対の龍も手作りなので少しずつ違いがあります。違いが分かりやすいのは!この目は、透明なガラスの半球に内側から黒目部分を塗りつぶし、血走りは細い糸で表現、綿を詰めて白目にしています。あなたはどの睨み加減が好きですか?

 

👉ポイント2 職人さんを見比べる!

SAIJO BASEのスゴイところは、複数の有名な刺繍職人さんの名品が展示されていて見比べることができることです。刺繍職人さんは、『縫箔師(ほうはくし)』略して『(縫師(ぬいし))』と呼ばれます。
といっても、1人だけですべて縫い上げるということはなく、その工房に属する複数の職人さんのチームで作られています。例えば、縫師 高木 安太郎と書かれていれば、「高木工房・リーダー安太郎」とイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。

実は、先ほど紹介した四面の飾り刺繍、上側と下側で縫師が異なります。
上側は、山下縫師の作と言われており、正確な制作年は分からないのですが、初代・2代目によるものと考えられています。
・初代  山下 茂太郎 (江戸末期(1861年)~昭和5年(1930年))
・2代目 山下 八郎   (明治38年(1905年)~昭和41年(1966年)) (愛媛県指定の無形文化財 立体刺繍技術保持者)

下側は、高木縫師の2代目高木 安太郎によって、昭和27年に制作されたものです。
・2代目 高木 安太郎(明治31年(1898年)~昭和44年(1969年))

縫師 山下 茂太郎は、江戸末期の生まれで、立体刺繍を考案したともいわれる伝説的な縫師です。
縫師の方々の生きた時代を見ると、改めて古いものが残っているんだなあと実感できますよね。

さて、この山下縫師の『布団締』の竜は、とても特徴的なんです。
それは、竜を見ている向き。通常は、竜の顔を横から見ているのに対して、この竜の顔は真上から見た形になっています。
このように真上から竜をとらえた布団締は他に例がなく、大変珍しいものです。現在のみこしや太鼓台の『布団締』の竜の顔は横から見た構図になっていますので、是非見比べてみてください。

 

高木縫師を見比べる

先ほど紹介した高木縫師は代々縫師を続けていました。SAIJO BASEでは、2代目と3代目の時代に作られた刺繍が展示されています。
・2代目 高木 安太郎(明治31年(1898年)~昭和44年(1969年))
・3代目 高木 一彦 (大正14年(1925年)~平成23年(2011年))(金糸銀糸装飾刺繍品分野の香川県伝統工芸士として、平成6年の制度創設時に認定)

同じ高木縫師でも時代によって表現の違いが見られます。みこしの幕は圧倒的に龍の刺繍が多い中、SAIJO BASEには珍しいことにの刺繍がそれぞれ3つずつ展示されています

の刺繍

〇虎の刺繍

 

梶内縫師と高木縫師を見比べる!

同時期に作成された異なる縫師の刺繍も比べてみましょう。
この2つは昭和45年に制作されたものですが、片方が先ほど紹介した高木縫師 3代目 高木 一彦、もう一方は梶内縫師 初代 梶内 近一によるものです。
・高木縫師 3代目 高木 一彦 (大正14年(1925年)~平成23年(2011年))
・梶内縫師 初代   梶内 近一 (明治29年(1896年)~平成元年(1989年))(山下縫師の初代 山下 茂太郎に弟子入り。労働大臣卓越技能賞受賞・勲六等瑞宝章などを受賞。)
梶内縫師も代々縫師を続けており、現在も淡路島で4代目の方が梶内だんじり株式会社として刺繍のみならず、金物細工から木工まで幅広く手掛けていらっしゃいます。

同じ龍の刺繍でも、縫師が異なると細部の表現に違いがあります。

見比べてみると結構違いがありますね。

 

👉ポイント3 時代の流れを見比べる!

こちらのミニチュア、提灯に『中す賀』の文字が見えるので、新居浜市の中須賀太鼓台の雛形(模型)と思われます。
ただの太鼓台の模型と侮るなかれ。木の骨組みは新しいものですが、刺繍飾りは昔の縫師によって作られた江戸時代~明治時代の太鼓台を模したものと考えられているんです。

雛形の刺繍とSAIJO BASEに展示されている西条祭絵巻、新町みこし、近代制作の刺繍を比べてみましょう。

西条祭絵巻、雛形、新町みこしは、獅子を正面から見た絵柄で似ています。近代制作の刺繍や現在の刺繍飾りの獅子は横向きが多い気がしますが、江戸時代は正面向きの獅子が流行ってますね。

みこし上部の黒い帯(布団締)の刺繍をくらべてみると、西条祭絵巻と雛形は平面的な雨龍(あまりょう)の刺繍、新町みこしは現代に近い立体的な刺繍であることが分かります。
龍の頭の向きに注目すると、現代では上向きと下向きの龍が1対になり、左側が下向き、右側が上向きとなっています。しかし、新町みこしは左右の龍の向きが反対。雛形は現代と同様の形式。西条祭絵巻は現代と同様の形式もあれば、2匹とも上向きの形式もあるので、昔は統一されていなかったのでしょう。

龍の図柄の変化から考えると、絵巻→雛形→新町みこし→現代という順番のようです。

実際の太鼓台やみこしという大きなものを保存するのはとても難しいことですが、お祭り好きの先祖が残した絵巻や雛形という形で時代の流れを見比べることができるなんて、ロマンを感じますね。

 

6.西条まつりの熱気と思いを繋ぐ

SAIJO BASEの展示は古いものですが、今ではもう再現できない西条の先祖の皆さんの思いがこもった貴重なものばかりです。
時代の流れの中で、他の地域へ譲られたりも多い中、現役時代は各地域で大切にされ、引退後も多くの人の手によって、この西条の地で大切に受け継がれてきたものを見ることができるのはすごいことだと思いませんか?
特に、新町みこしの飾りは約200年前のもの。繊細な刺繍は保管が難しいにもかかわらず、今現在残っているのは奇跡でしょう。

さらに、現代とは異なる昔のみこしの形を復元できたのは、西条まつりを研究してくれた人々のおかげでもあります。古い記録資料を集めたり、西条だけにとどまらず瀬戸内に残るお祭りの形態と比較したり、昭和末期に古老たちやだんじり大工さんから若かりし頃のお祭りの話を集めたりと様々なアプローチで西条まつりの研究を進めてくれた人々のおかげで、昔の新町みこしの復元をはじめ、昔の人々の思いが今に伝わっているのです。

今回西条まつりについて教えていただいた佐藤秀之さん。中学生の頃から西条まつりを研究されています!
旧こどもの国の職員さんで展示の説明も佐藤さんの作。新町みこしの復元にも関わっていらっしゃいます。

西条まつりの長い歴史を担う一人として、先祖が込めた思いに今を担う私たちの思いものせて、世界に誇る素晴らしい西条まつりの熱気とそこに込められた沢山の思いを今後も受け継ぎ、これからの未来に繋いでいきましょう!
まだSAIJO BASEの展示コーナーに行っていない方は、是非SAIJO BASEを訪れて、先人の思いを感じてください。

 

▼展示コーナーのだんじり紹介記事はこちらから(画像をクリック)
・西条まつりに息づく先祖の思い 前編 ~だんじりに彫られた江戸の粋~

・西条まつりに息づく先祖の思い 後編 ~だんじりの造りに込められた思い~

 

【SAIJO BASE】

住所:愛媛県西条市明屋敷131-2
TEL:0897-47-6063
開館時間:9:00~19:00
休館日:年末年始(12/29~1/3)/地方祭(10/15、16)
HP:https://saijobase.com/
展示コーナーは誰でも無料で見られます♪

【参考文献】
・西条市『西条市生活文化誌』(1991)
・藤田駿一『喜多浜みこし』(1985)
・福原敏男『西条祭礼絵巻-近世伊予の祭礼風流-』(2012)
・新居浜市立図書館『新居浜太鼓台』(1990)
・佐藤秀之『改訂版 伊曽乃祭礼楽車考』(1979)
・観音寺太鼓台研究グループ 尾崎明男『地歌舞伎衣装と太鼓台文化』(2015)
・梶内だんじり株式会社HP(https://www.danjiriya.com/)

私が書きました

LOVE SAIJO 編集部

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