LOVE SAIJO

農業で夢を語ろう。子どもたちに選んでもらえる仕事に。

ひと房15,000円のぶどうをつくる夫婦が愛媛県西条市丹原町に住んでいます。
ここは“田舎暮らし”という言葉がぴったりな西条市にあって、とりわけ広大な田畑が広がる農業地帯です。
幹線道路から少し外れ、両側に樹園地が広がるゆるやかな山あいの道を登っていくと、そこに「輝らり果樹園」があらわれます。
生産・販売するこの農園を切り盛りする金光祐二(かねみつゆうじ)さん、金光史(かねみつふみ)さん夫婦は、二人とも元JA職員という経歴の持ち主です。
農家のサポーターから生産者へ。夫婦のこれまでとこれからの夢について伺いました。

 

#1 果樹担当指導員までの歩み

祐二さんは、愛媛県西条市のお隣に位置する今治市出身。実家は兼業農家で、幼いころはいつも田んぼで作業している祖父の姿を見て育ちました。高校の農業科で野菜を専攻した後、農業大学校へ進学。農業を学んでいくうちにその魅力に惹かれ、西条市のJAに就職し、果樹担当の指導員として配属されます。

史さんは、岡山県倉敷市出身。環境問題と向き合いたいという理由から、鳥取大学の農業科へ進学します。ある日、長期の休みに海外の様々な自然や景色を見て歩いた史さんは、帰りの道中、バスの車窓から見えるいつもの景色にほっとしている自分がいることに気づいたそうです。
「もしかしたら日本の景色こそが自分が一番好きな景色かもしれない、この自然に関わる農業関係の仕事に就きたい」と感じるようになったそうです。
史さんは思いそのままに鳥取のJAに就職。面接では「絶対に現場で仕事がしたい!」と希望し、果樹担当の指導員になりました。

 

#2 出会い、史さんの葛藤

愛媛と鳥取。それぞれの地で果樹指導員だった二人の出会いは、史さんが柿の視察研修を目的に愛媛県を訪れたのがきっかけでした。研修の受け入れ先として、現地を案内してくれたのが祐二さんだったのです。
始めて祐二さんを見た史さんの印象は、他の指導員と比べると、ちょっと違っていたそうです。
「私の周りには仕事を淡々とこなす人が多かったのですが、祐二さんの指導方法は、天候やその年ごとの条件、一人一人の畑の様子に合わせられたとても緻密なものでした。愛媛は育つ果物の品目が多種多様で、信じられない数の栽培方法を勉強しなければいけないにもかかわらずです。だから私は当初、祐二さんを指導員として尊敬するところから入りました。こっちの人は凄い!と。」

 

しかし、史さんはこの頃大きな悩みを抱えていました。現場で農家さんと顔を合わせながら仕事へのやりがいを実感する一方、「指導員以外の業務」もどんどん大きくなっていきました。

それは自分が思い描いていた姿とは大きく異なる農業とのかかわり方。
「私はみんなの農作物を売りたいのに、なんで今は宝石や布団を売っているのだろう。」

結局、史さんは鳥取のJAを退職、故郷の岡山へ帰ります。
もう一度自分がやりたい農業への関わり方を探すためでした。

 

#3 西条市への移住を選択、結婚

岡山に帰郷した史さんは、観光農園や農業法人など、再出発の場所を探して回ります。
「うちでも指導員を募集してるよ。」
悩んでいた史さんを遠くから支え、手を差し伸べたのは、祐二さんでした。当時、愛媛県内には女性の果樹指導員はとても珍しく、女性目線で指導できる人材を探していたそうです。もしかしたら、やりがいのある働き方を見つけられるかもしれない、自分を必要としている人たちがいるのかもしれない。
もう一度、やってみよう―。史さんが移住する決断をした瞬間でした。

史さんは新天地で果樹担当指導員として再出発。先輩指導員である祐二さんから様々なノウハウを吸収していきました。
2010年に二人は結婚。史さんの移住から2年半が経っていました。

 

#4 農家のサポーターから生産者へ

この頃から祐二さんは作り手のない畑を借り受けたり、人手の足りない農家さんの手伝いをするようになっていました。平日は果樹の指導員、土日は畑でキウイの栽培をする毎日。
祐二さんは、現場で実践的な指導を続けていくうち、「サポートだけじゃなく自分もいつかは就農したい。自分が作ったものを届けたい」と思うようになっていました。
また、史さんも現場で活き活きと仕事をする祐二さんを見て、「この人は本当に現場が好きなんだな、農業がやってみたいんだな」と感じていたそうです。
しかし、そんな思いに相反するかのように、祐二さんの職場での役割は現場からデスクへと変わっていき、やがて部長という管理職に就きます。これまでと違い普段はデスクワーク、畑に行くのは土日のみ。今まで果樹指導員として成長させてくれた職場への感謝や自身を頼ってくれる農家の人たちへの思い、されど現場へは戻りたいという自身の願いとの間で悩んでいました。
そんな祐二さんを見た史さんは、「今度は私が彼を応援しよう」と背中を押します。
「やってみたいんでしょ。当面の家計は任せてよ。私も頑張るから。」

農業は初期投資も必要で、就農してすぐに収入が得られるわけではありません。史さんは引き続きJAに勤め、家計を支えながら祐二さんの新規就農を手伝う決心をしました。
祐二さんは、管理職になって現場を離れた2年後の2012年にJAを退職し、新規就農。

農園の名前は「キラキラ笑顔のお客様が増えて、キラキラ輝く農園に成長したい」という願いを込めて「輝らり果樹園」としました。経営の柱に選んだ果物は「キウイフルーツ」。これまで果樹指導員としてのノウハウもあり、周辺地域をあげて栽培を推進していた品目のひとつでした。

ところがその翌年、出発したばかりの夫婦を大きな試練が襲います。

キウイフルーツかいよう病-。
キウイフルーツの一大産地でもあったこの地を、樹木が枯死することもあるとても被害の大きい病気が襲いました。他の樹木への感染力も非常に強く、一度も収穫したことのない植えたばかりのキウイの木は、「全伐採」するしかありませんでした。
「私たち、どうやって食べていけばいいの。」

かいよう病を発症したキウイフルーツの樹木

#5 試練を乗り越えて。家族で踏み出した一歩

キウイフルーツという頼りにしていた柱を折られ、大きなショックを受けた金光さん夫婦でしたが、「それでも農業で生きていく」という覚悟は固いものでした。落ち込んでいる暇なんてない。キウイができないなら何にしようと二人は考えます。
「周りには秋と冬に収穫する柿やキウイが多い、でも周りと同じじゃだめだ。・・・そうだ!この地域は春や夏にも少量だけど収穫できる色んな品種の果樹ができるじゃない。」
それは、史さんがこの地に来て最初に感じたことでした。

温暖な気候やきれいな水が揃うこの場所だからできる四季折々のさまざまな果物。挑戦する新しい果物は、家族みんなが好きな「ぶどう」に決めました。
果樹担当指導員という経歴はあるものの、二人とも「ぶどう」に関しては素人同然。一から勉強しなおし、果樹研究センターを始め、県内外のぶどう農家を訪ねては様々な品種を食べ比べて「一番おいしい」と思うもの、そしてまだこの地域で知名度が確立されてない「珍しいもの」を選んで改植しました。その後、史さんもJAを退職し、夫婦二人三脚での取り組みがスタートします。
そして一年後の夏、手探りしながら栽培したぶどうが少量ながら実を付けました。金光さん夫婦は、栽培の指導をはじめ、土地を提供してくれた人たちを招待して試食会を開催。「お世話になった人に食べてもらって、喜ぶ顔が見たい」という想いからでした。
家族が一つになって、「輝らり果樹園」が本当の第一歩を踏み出した瞬間でした。

当時の農業新聞記事

#6 農業への想い

祐二さんが作ったぶどうは、やがてひと房15,000円で販売されるブランド品にまで成長しました。
ひと房ひと房、一粒一粒と向き合い、手間暇かけて少量でもおいしいものを作りたいという祐二さんのスタイルとこだわりに、ぶどうはマッチしていたからです。
現在の「輝らり果樹園」の目標は、春は柑橘、夏はぶどう、秋は柿、冬はキウイと、一年間通して色々な果物を届けられる農園になること。一つが終わって次、というわけでもなく、作業が必要な時期は重複しているので、毎日目が回るような忙しさだそう。
それでも金光さん夫婦は笑いながら農業の魅力を語ってくれます。
「農業の一番の醍醐味は『お客さんが食べて喜ぶ顔を見る』ことだと思います。どんなに忙しくても、それが頑張る活力になります。家族がいつも近くにいられるのも素敵じゃないですか。働いている自分たちの姿を子どもたちにも見てもらえますし。」


サポーターだった頃から農業と向き合い、生産者としても苦労した二人だからこそ、酸いも甘いも含めた農業の魅力を話せるのかもしれません。
最後に、家族みんなで夢のある農業を実践する金光さん夫婦から、「これから農業を志す人」に向けてメッセージをいただきました。
「今は農業に参入しやすくなってきています。私たちも最初から土地や資金があったわけではありません。まずは、自分の目で『現場』を見て、農家さんのところで勉強して、自分にあった作物を見つけることが大切です。いつか、私たちと同じような気持ちを持った仲間が増えたらうれしいです。」

食べた人を喜ばせたい。シンプルで強い想いを胸に、「先輩就農者」として今日も二人は『現場』に立っています。

 

#7 輝らり果樹園

輝らり果樹園では、温暖で自然に恵まれた環境だからできる四季折々の果物を1年通じてお届けしています。
不知火(デコポン)・・・4月~5月
ぶどう・・・・・7月~9月
柿・・・・・・・10月~12月
キウイ・・・・・11月~3月
〒791-0524 愛媛県西条市丹原町高松甲582
TEL:0898-68-4820
FAX:0898-55-8988

輝らり果樹園Webサイト
https://kirari-farm.com/
フェイスブック
https://www.facebook.com/kirarifruitsfarm/

この記事を書いた人
Co-あきない宣言 編集部

Co-あきない宣言 編集部

Co-あきない宣言の編集担当です。 西条市では、市内で働き、輝いている市民をストーリー化して発信することで、西条市をPRしております!まだまだ不慣れですが、頑張ってシリーズを重ねてまいりますので、是非ご覧ください。

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