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酒造りは地域とともに。走り続ける若きプロデューサー

西日本最高峰を誇る石鎚山。
山から流れ出た伏流水はゆっくりと地中深く浸透し、やがて浄化され、「うちぬき水」と呼ばれる柔らかい味わいを持った名水として古くからこの西条市を潤しています。
「名水あるところに名酒あり」と言われるように、このまちには5つの酒蔵が切磋琢磨しながら、個性あふれる酒造りをしています。
成龍酒造(株)は、「酒は夢と心でつくるもの」をモットーに、蔵人5人がチームワークで酒造りに励んでいます。常務取締役として企画・販売も担当する首藤英友(すとうひでとも)さんに酒造りに込める想いを語っていただきました。

#1 蔵人になるまで


成龍(せいりょう)酒造は、1877年(明治10年)の創業以来、約140年この地で酒造りをしている市内では最も古くから続く酒蔵です。
この家の長男として生まれた英友さんは、「家業を継ぐ」という将来の道を、幼いころから周囲の声や環境で意識はしていたものの、醸造学だけでなく経済学にも興味があったため、大学進学の際に2つの進路で迷っていました。
英友さんは「流通の仕組みや世の中の経済の動きに興味があった」という理由から後者を選択。山口大学経済学部経営学科に進学しました。そこには、一度愛媛を出て遠くから故郷や家業を見つめなおしたいという想いもありました。そして卒業後は大学で学んだ流通の世界を自身の目で見るため、東京のお酒の卸会社に就職します。
高校を卒業して約10年間西条市を離れていた英友さんは、故郷や酒造りの素晴らしさを改めて認識。東京農業大学や東広島の酒類総合研究所で醸造学を学んだ、弟・敏孝(としたか)さんの卒業と同時に帰郷、蔵に入りました。

 

 

#2 健康と笑顔のチームづくり

成龍酒造での酒造りは毎年12月から始まり、4か月間もの間、英友さんと弟の敏孝さん、杜氏の織田さん、社員を含めた蔵人5人がほぼ泊まり込みで酒と共に生活します。
毎朝5時半から始まる手作業重視の酒造りは夜まで続くという過酷な毎日。それでも酒蔵ではいつも笑顔が絶えないと英友さんは言います。
「もちろん弟は家族ですが、杜氏の織田さんも血はつながってなくとも家族みたいなものです。家族は朝も夜も顔を合わせ、時には喧嘩することもありますが、お互いを敬って生活しています。どの酒蔵にもそれぞれこだわりがあると思いますが、うちが一番PRしたいポイントは『造り手』です。もちろん、出来上がったお酒そのものにも自信を持っていますが、私たちはいつも楽しく、ワクワクしながら酒造りをしています。みんなで一緒に寝食共にして、ひとつのものを作り上げる。それがうちの誇りであり、自慢です。」
そんな英友さんに、「チームに名前を付けるとしたら?」と尋ねてみました。返ってきた答えは『チーム健康』。体調が良くないとお酒の味もわかりません。それは、「健康でいてこそはじめて酒を造れる」との想いから、織田さんが一番大切にしていること。
その答えから英友さんの「家族」への想いが感じられます。

左から弟の敏孝さん、杜氏である織田さん

 

#3 プロデューサーとして、父として

冬は酒造りに、他のシーズンは日本全国、時には海外にも日本酒の魅力を伝えるため走り回る日々を送る英友さんですが、時には自身の未熟さを痛感し、落ち込むことも。
「例えば海外に行った時、海外では通訳さんを通してプレゼンするのですが、自分の語学力が足りないばかりに、私たち造り手の想いがなかなか伝えられないことがあります。伝え方を間違えればそれは国内でも同じです。また、このお酒に合うラベルはどんなものか、ラベルの色や時期、どういう方に飲んでいただきたいか、トータルで考えなければいけないのにアイデアが出ない時があります。紙に書いては消して、運転中に考えたり。そんな風に自分の力が足りないことを実感する時はけっこう辛かったりします。」

そんなある日、英友さんは、たまたま息子さんが通う幼稚園の文集を見つけます。
そこにはまだ拙い息子さんの文字で「将来の夢、『おさけやさん』」と書かれていました。「のびのびと育ってほしい」という想いから、家業については息子に意識させないよう努めていたつもりでしたが、その小さな瞳はしっかりと「父親の背中」を見ていたのです。
「仕事場と家庭」、それぞれの家族に支えられていた英友さん。当時の事を思い出し、「今までで一番うれしかった」と照れ臭そうに笑います。

 

 

#4 地域を表現できる酒蔵に

「日本酒のこと、蔵のことをもっと知ってもらいたい」、という想いで、20年前から始めた成龍酒造の「蔵開き」。
今では日本酒の試飲や販売だけではなく、マルシェや地元工芸品の個展ともコラボし、地域に愛される一大イベントになりました。
「僕は『地域=酒』だと思います。地酒を開けて飲んだ瞬間に『このまちに行ってみたい』と、まちに興味を持ってもらえるような酒、そして地域を表現できるような酒を造っていきたいです。地域の方とコラボしたりするのは、そういう意味ですごく勉強になります。」
また、イベントに出展してくれている作家の中でも特に、切り絵職人の塩崎剛氏との出会いは英友さんに大きな影響を与えたと言います。


「もともと私は、塩崎さんの作品のファンでした。彼は目に病気を抱えながら、下書き無しで紙を切っていきます。頭で考えたもの、心で見たものを作品に落とし込んでいくんです。そうして、一心不乱に切っていくと作品が出来上がっている。僕たちは酒造りで、造るものこそ違うが、イメージを形にしていくところが似ていると思いました。彼の作品をいつかラベルにしたいと思っていました。」
日本酒の文化は、その製法を含め、内容や言葉には高い専門性があり、一般の人に伝えるのは難しいもの。「もっとわかりやすく伝えたい、地域を表現して故郷を懐かしみながら飲めるようなものにしたい」というコンセプトが塩崎さんの共感を得たそうです。
こうして、地域の四季を表現した塩崎さんとのコラボラベルが2011年に完成。それはちょうど東日本大震災の年。「このお酒で被災した人たちの心を少しでも救いたい」という願いも込められていました。

切り絵職人の塩崎剛氏とのコラボにより実現したラベル

 

成龍酒造の蔵開きは、県内外からのリピーターも含め、毎回1,000人を超える来場者が集まる一大イベントですが、そこには販売戦略めいたものではなく、「地元の人たちの想いをお客様に伝えたい」という純粋な「心」に溢れています。
「人の数ではないですけど、それだけのパワーがこのまちにはあるんだとイベントを開催していつも感じます。来た人が「このまち良かったね」とか「こんどはあそこに行ってみたい」と、このまちをもっと好きになってもらえるようなイベントにしていきたいですね。」

多くの来場者で賑わう蔵開きの様子

 

#5 まちへの想い


酒造りを通じて、このまちを表現していきたいと語る英友さん。最後に西条市の魅力について伺いました。
「私はこのまちが大好きです。水が豊富なのはもちろんですが、水だけじゃなくて、自然や春夏秋冬の景色、香りも全部好きです。石鎚山に毎年必ず登るのですが、上からの景色は素晴らしいです。こんな素晴らしい山を持っている西条市って素敵だと思います。西日本で一番高いところ、そこから水が来て、お酒づくりをさせてもらっている。すべてがあそこからつながっているというか。東京で住んでいたこともありますし、仕事柄、出張で県外を歩くことも多いですが、あらためてこの地元の凄さをまざまざと感じます。食べるものがこんなにおいしくて水が豊か。私たちが普段当たり前に感じていることって、外に出てみると当たり前じゃないこともあります。若い頃は東京に憧れてネオンの下で過ごしてみたい時期もありました。田舎にはネオンは無いですけど、逆に都会に無い物がここには全部あるような気がします。だから、この町のどこが好きって聞かれたら、『全部好き』ですね。」
西条市の宝とも言える山や水などの豊かな自然。日本酒に留まらず、まち全体の魅力を表現し、発信し続ける成龍酒造の蔵人たち。このまちに住む「ひと」もまた、大切な宝であると感じられます。

 

 

#6 成龍酒造(株)


1877年の創業以来約140年、酒と向き合い続ける愛媛の蔵です。
昔ながらの自然蔵での酒造りは毎年苦労の連続ですが、その先にある大きな喜びを目指して、少ないスタッフ力を合わせて頑張っています(成龍酒造株式会社公式Webサイトより)。

成龍酒造株式会社公式Webサイト
http://www.seiryosyuzo.com/index.html

成龍酒造株式会社公式フェイスブック
https://www.facebook.com/seiryo1877

成龍酒造株式会社公式インスタグラム
https://www.instagram.com/seiryo1877/

酒蔵日記帳ブログ
https://ameblo.jp/seiryo1877/

成龍酒造のプロモーション動画
https://www.youtube.com/watch?v=irdw-M7DYNM

私が書きました

Co-あきない宣言 編集部

Co-あきない宣言 編集部

Co-あきない宣言の編集担当です。 西条市では、市内で働き、輝いている市民をストーリー化して発信することで、西条市をPRしております!まだまだ不慣れですが、頑張ってシリーズを重ねてまいりますので、是非ご覧ください。

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