LOVE SAIJO

すべての人を 受け入れる場所に

愛媛県西条市。
「2019年版 住みたい田舎ベストランキング」※の “若者世代が住みたい田舎部門”と“自然の恵み部門”の2部門で全国5位、“総合部門”など全5部門ですべて四国1位に輝いたまち。
そんな注目のまちでカフェを切り盛りするのは、このまちで生まれ育った渡邊仁志(わたなべひとし)さん、京都出身の友歌里(ゆかり)さん夫婦。
Uターンに移住、そして夫婦でカフェを経営。昨今の移住ブームのなかでも「理想的」とも言える暮らしの中で、お二人が大切にしているものとはどのようなものでしょうか。
※(株)宝島社出版『田舎暮らしの本』2月号

 

 

#1 なかなか帰らなかった地元、すぐに決めた見知らぬ土地

 

18歳まで西条市で生まれ育った仁志さん。大学や専門学校が無いため、進学する若者は皆、一度はこのまちを離れます。仁志さんが進学するころは、ちょうど就職氷河期。いつかは帰って、地元でも食べていくために「手に職をつけよう」と、大阪の大学で理学療法士を目指す道を選びました。
大学卒業後、理学療法士としての道を歩み始めた仁志さんは、ある日、ダンスと出会います。体の柔軟性やバランス感覚、そしてリズム感に表現力。ダンスを徹底的に突き詰めるうちに、どんどんその道にのめり込んだ結果、11年の歳月を大阪で過ごします。
「高校のころは大学卒業後は西条市での就職をしようと思っていたのですが、でもその時にはもうその意識は無くなっていて。せっかく始めたダンスをもっとこっちでやりたいな、と思いまして。ただ、いつかは帰ろうと思っていました。」
地元に帰って何をやろうかと考えていた仁志さんは、「西条市でダンススタジオをやってみよう」と思い立ちます。
ダンススタジオの設計図を書き始めた頃、ダンスをする子どもの親に「コーヒーを出そう」とひらめきました。ところが、設計図を描いていくうちにどんどん大きくなっていくコーヒースペース。
「いつの間にかカフェになってしまっていた」と仁志さんが懐かしげに当時のことを振り返ります。
人生のターニングポイントはいつ訪れるかわからないもの。そこからコーヒーを勉強するため大阪の店でバリスタとして働きました。
友歌里さんと出会ったのはそんなときでした。

 

友歌里さんは京都生まれ。小さい頃から音楽が好きで、京都に住みながら音楽活動を4年半していました。音楽から少し離れ、ゆっくり自分と向き合っていた時に仁志さんと出会います。コーヒーに興味が湧き、音楽をやっていたこともあり、コーヒーと音楽を融合させた仁志さんのライフスタイルに惹かれたと言います。こうした縁から、西条市にやってきました。


そんな彼女は、移住に際して決断を悩むことはありませんでした。
「家族のことは心配。でもどこに住んでいてもどんな仕事をしていても、色々繋がっていることがあるはず」と前向きです。
「別に京都じゃなくてもいいし、西条市にいてもいつでも帰られるし。友達と離れてもそれぞれの場所でみんな生きていて、それぞれ頑張っていれば、また会ったときに、再会を喜べるし」と明るく微笑みます。
また、田舎での暮らしは、友歌里さんが想像していたよりもずっと暮らしやすく、必要なものは街の中に凝縮されていて、生活面でも便利だと言います。

 

 

#2 好きで戻って来たわけではなかった

 

仁志さんが西条市に戻ろうと決心した時、特に大きな理由があったわけではありませんでした。ダンス仲間がそれぞれの道を歩み始めたころ、長男だから家を継がなくてはという思いもあり、流れに身を任せて西条市に戻って来ました。すべてはタイミングだったと振り返ります。
「『西条のことが好きで帰ってきたんですか。』と聞かれたら、それは『NO』なんです。そうではなく、これから可能性を見出すという部分に関して言えば良いまちなのかな、と。この店をつくってからは、そう感じています。」
市内だけではなく、市外からもたくさんの刺激を受けて、今、まちの流れが少しずつ変わりつつある中でお店をすることに、仁志さんはやりがいを見出しつつあるそうです。
人がお店に集まり、そこで生まれるコーヒーを介したコミュニケーション。新しい出会いだけでなく、「懐かしい出会い」も出来るようになりました。そして、飲食業という「人の身体の一部となるものを作る仕事」の素晴らしさを感じ、やればやるほどのめり込んでいきました。
「今まで自分がしてきたことは全部そうなんですが、突き詰めれば突き詰めるほど、それぞれのコンテンツの底知れない奥行きを感じます。」
仁志さんの「道」を追求する熱量の高さを感じます。

 

 

#3 何よりも大切なのはバランス

 

ダンスでも、1番心地のいいところで体と精神を保つことが重要で、それらを支えるバランスがあってはじめて自分らしさを表現できるそうです。
「感覚ばっかりでも、理論だけでもダメ。間に立てるように自分をコントロールするのが大事ですね。」
何事にも「技術」と「理論」、そして「気持ち」、すべてのバランスが重要なのだと仁志さんは言います。それは理学療法でもダンスでも、こだわりをもって淹れるコーヒーでも不可欠なもの。
生産者と対等に向き合い、どんなことでも意見を言い合う。フルーティなコーヒーも酸味・苦味・甘味のバランスから織りなされるもので、西条市の柔らかい水とコーヒーの相性もバランスが良いようです。
また、仁志さんと友歌里さんの関係も「24時間一緒だから喧嘩もある」としながらも、家庭とプライベートを両立しながら2人がバランスよく成り立っているといいます。

「ここにいきなり移住なんてしなくていいけど、素敵な人はフラりと遊びに来てくれるし、そういう方を受け入れるまちの方がかっこいいと思います。そして、別に僕自身やこの店がその中核でなくてもいいから、そんなまちづくりを支える一員になりたいです。」
仁志さんは謙虚さも忘れていません。これもきっと、「バランス」なのでしょう。市外から来た方、住民以外のためにきちんと受け皿を作っていくことが大事で、自身のお店がその1つになりたいと語ります。
「どうすれば西条というまちが良い街になるか」、これが仁志さんの頭から離れることはありません。
「『住んでいる人だけが居心地いい』まちは、いつか絶対廃れてしまう」と仁志さんは言います。
このまちに住む2割の人たち、ほんの少し縁のある6割の人たち、すごく縁の深い2割の人たち。2-6-2のバランスでまちに関わる人が構成されると、うまく回っていくのだと、仁志さんは考えます。
そのためには、それぞれを尊重しあえる空間が必要で、「まずはこの店をそういう店にしたい」と意気込んでいます。

何事にも「バランス」を大切にする仁志さん、友歌里さん夫婦

 

 

#4 その輪は少しずつ広がっている。そしてこれからも

 

お店のインスタを見て海外から来られたお客さんと

 

友歌里さんにとっては、最初は1人も友達がいないところからのスタートでした。それでもこのカフェを中心に、友歌里さんも友達が増えています。
二階のスタジオで、ピラティスやダンスの教室を開き、音楽仲間は月に1回サークル活動したり生徒さんが歌う。もちろん友歌里さんもその中に入ります。
田舎で自分に合うコミュニティを探すのは大変なこともあるかもしれません。だったら、逆に自分が作ってそこにくる人たちとコミュニティを作ってしまうという逆転の発想です。
自分が住みやすいまちは自分たちで作る。そのために今、自分がやれる事は、次の世代の子たちを育てること。仁志さんも小学校でダンスの授業へ講師として出向くなど、自らが大切にしていることを次の世代にちょっとずつシェアしています。仁志さんがこれまで歩んできた道は、そのすべてが糧となり、今に活かされているようです。
「学ぼうとしてくる人たちには、自分のできること、スキル、持っているものすべてを出し惜しみせず、すべて共有します。どこまでやれるかわからないけど、まだ自分のやりたいこと2割しかできていないので。またタイミングで自分ができることをやりながらまちと関わっていきたい。」とその目は輝いていました。
最後に、移住やUターンを経て居場所を探している人へのメッセージをお願いしました。
「自分が素敵だと感じたことをすることが、結果的によりよい居場所作りになるはずです。テイクばかりでなく、自分からギブをする、そういう精神をもって西条に来て欲しいという思いがあります。」
移住に力を入れている西条市。
好きなことをとことん突き詰め、自分を表現して来た仁志さん。
そして何事も前向きに捉え、転化・昇華させる友歌里さん。
そんなお二人の絶妙なバランスによって、このお店はこれからも、まちに住む人だけでなく、移住者の不安を解決する場所にもなりうると感じました。

店内で催された夫婦の結婚式

 

 

5 WTNB coffee&studio IN THE HOUSE(ワタナベコーヒーアンドスタジオインザハウス)

 

 

フォトジェニックなウォールアートが目印、周桑手すき和紙を使ったランプシェードなど、内装にも拘りの空間を演出するWTNB coffee。平日は8時30分から22時、週末と土日は23時までと、「すべての皆さんのほっとする場所」を目指して、長い時間営業している市内でも話題のカフェです。
WTNB coffee&studio IN THE HOUSE公式フェイスブック
https://www.facebook.com/wtnbinthehouse/

この記事を書いた人
Co-あきない宣言 編集部

Co-あきない宣言 編集部

Co-あきない宣言の編集担当です。 西条市では、市内で働き、輝いている市民をストーリー化して発信することで、西条市をPRしております!まだまだ不慣れですが、頑張ってシリーズを重ねてまいりますので、是非ご覧ください。

Facebook

宝島社『田舎暮らしの本』2月号の
「2019年版 住みたい田舎ベストランキング」において、
“若者世代が住みたい田舎部門”と“自然の恵み部門”の2部門で全国5位
“総合部門”など全5部門ですべて四国1位を獲得しました!

西条市への移住定住で困った時はお気軽にご相談ください。
私たち専門の担当者や地域で活躍する移住相談員が丁寧に
お応えいたします。

西条市移住相談窓口

西条市 市民生活部 移住推進課 移住推進係